2025/03/26
今回はディミニッシュトセブンスというコードの仕組みと作り方について、詳しくご説明させていただきます。
この問題はギター検定筆記試験に出題されます。
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1.ディミニッシュコードってどんなコード?
ディミニッシュコードとは不協和音に近いような不穏な響きのコードで、「世にも奇妙な物語」や「火曜サスペンス劇場」のテーマ曲など、ホラーやサスペンスなどでたびたび使用されるコードです。不安や恐怖などを表現したい場面で使用されることが多いコードですが、使い方によっては非常にポップな曲や可愛らしいメロディーの隠し味となるため、多くのプロミュージシャンが絶妙な使い方を披露してくれています。
とは言えやはり単品で使用すると不穏な空気が漂う印象がするコードで、何故そのような響きがするのかを次項で学んでいきましょう。
2.構成音の仕組みを知る
構成音の仕組みを知るため、まずはCdim7(ディミニッシュトセブンス)のコードダイアグラムを見てみましょう。
これが最も基本的なCdim7の形です。
一つずつ構成音を見ていくと、4弦1フレットはD#、3弦2フレットはA、2弦1フレットはC、1弦2フレットはF#です。
次に、この形を1フレット上げてみるとこうなります。
これは先ほどのCdim7がそのまま半音上がっているので、C#dim7またはD♭dim7となります。
この形の構成音を見ていくと、4弦2フレットはE、3弦3フレットはA#、2弦2フレットはC#、1弦3フレットはGとなります。
次に、最初のCdim7の形から半音下げてみましょう。
これはCdim7が半音下がっているので、Bdim7となります。
この形の構成音を一つずつ見ていくと、4弦0フレット(開放)がD、3弦1フレットはG#、2弦0フレット(開放)はB、1弦1フレットはFという4つの構成音が導き出せます。
ここで、12音階全てのディミニッシュトセブンスの構成音を導き出してみましょう。
Cdim7・・・C、D#、F#、A
C#dim7・・・C#、E、G、A#
Ddim7・・・D、F、G#、B
D#dim7・・・D#、F#、A、C
Edim7・・・E、G、A#、C#
Fdim7・・・F、G#、B、D
F#dim7・・・F#、A、C、D#
Gdim7・・・G、A#、C#、E
G#dim7・・・G#、B、D、F
Adim7・・・A、C、D#、F#
A#dim7・・・A#、C#、E、G
Bdim7・・・B、D、F、G#
この構成音の一覧の中に、少し変わった出来事が起こっていることにお気付きいただけますでしょうか?
この後くわしく解説させていただきますが、可能であればご自身でお気付きになる方が楽しいですし理論が身に着きますので、この先を読み進めるのを一旦止めて、じっくり考えてみることをお勧め致します。
それでは解説に移ります。
この構成音の一覧をじっくり見てみると、同じ構成音があることに気付きます。
Cdim7・・・C、D#、F#、A
C#dim7・・・C#、E、G、A#
Ddim7・・・D、F、G#、B
D#dim7・・・D#、F#、A、C
Edim7・・・E、G、A#、C#
Fdim7・・・F、G#、B、D
F#dim7・・・F#、A、C、D#
Gdim7・・・G、A#、C#、E
G#dim7・・・G#、B、D、F
Adim7・・・A、C、D#、F#
A#dim7・・・A#、C#、E、G
Bdim7・・・B、D、F、G#
赤文字で記したように、Cdim7とD#dim7の構成音が、順番こそ違うものの全く同じ4つの音になっています。
これではまるで「Aセットはハンバーガーとポテトとコーラ」「Bセットはポテトとコーラとハンバーガー」と言っているようなもので、セットの名前は違うのに内容は全く同じという不思議な現象が起きています。
それでは次に、Cdim7とD#dim7以外にも同じ構成音のものがないか見ていきましょう。
Cdim7・・・C、D#、F#、A
C#dim7・・・C#、E、G、A#
Ddim7・・・D、F、G#、B
D#dim7・・・D#、F#、A、C
Edim7・・・E、G、A#、C#
Fdim7・・・F、G#、B、D
F#dim7・・・F#、A、C、D#
Gdim7・・・G、A#、C#、E
G#dim7・・・G#、B、D、F
Adim7・・・A、C、D#、F#
A#dim7・・・A#、C#、E、G
Bdim7・・・B、D、F、G#
よく探してみると4つも同じ構成音のdim7コードが見つかりました。
つまり、Cdim7とD#dim7とF#dim7とAdim7は同じ構成音を持っているということです。
他にも同じものがあるかも知れませんので、さらに探してみましょう。
Cdim7・・・C、D#、F#、A
C#dim7・・・C#、E、G、A#
Ddim7・・・D、F、G#、B
D#dim7・・・D#、F#、A、C
Edim7・・・E、G、A#、C#
Fdim7・・・F、G#、B、D
F#dim7・・・F#、A、C、D#
Gdim7・・・G、A#、C#、E
G#dim7・・・G#、B、D、F
Adim7・・・A、C、D#、F#
A#dim7・・・A#、C#、E、G
Bdim7・・・B、D、F、G#
青文字で記した4つのdim7の構成音が同じでした。
つまり、C#dim7とEdim7とGdim7とA#dim7は同じ構成音を持っているということです。
ここまで来れば既にお気付きの方も多いかと存じますが、残りの4つのdim7コードも同じ構成音です。
Cdim7・・・C、D#、F#、A
C#dim7・・・C#、E、G、A#
Ddim7・・・D、F、G#、B
D#dim7・・・D#、F#、A、C
Edim7・・・E、G、A#、C#
Fdim7・・・F、G#、B、D
F#dim7・・・F#、A、C、D#
Gdim7・・・G、A#、C#、E
G#dim7・・・G#、B、D、F
Adim7・・・A、C、D#、F#
A#dim7・・・A#、C#、E、G
Bdim7・・・B、D、F、G#
これまで同様、Ddim7とFdim7とG#dim7とBdim7は同じ構成音を持っています。
これにより何をお伝えしたいのかと言うと、
冒頭でお伝えしたこのCdim7の形は同時にD#dim7でもあり、F#dim7でもあり、Adim7でもあるということです。
そしてこの形を半音上げて作ったC#dim7の形ですが、
この形はC#dim7でもあると同時に、Edim7でもあり、Gdim7でもあり、A#dim7でもあります。
そして最後に、Cdim7を半音下げて作ったBdim7の形ですが、
この形はBdim7でもあると同時に、D#dim7でもあり、Fdim7でもあり、G#dim7でもあるのです。
※ルート音は最低音であるべきだという前提に則ると微妙に違いはあるのですが、使用されている構成音が全て同じという点においての解釈となります。
つまり、最初にコードフォームを提示させていただいた3つのdim7(Cdim7、C#dim7、Bdim7)の形だけで、12音階全てのディミニッシュトセブンスを作れているとも言えるわけです。
また、構成音の一覧をもう一度見てみると、
Cdim7・・・C、D#、F#、A
C#dim7・・・C#、E、G、A#
Ddim7・・・D、F、G#、B
D#dim7・・・D#、F#、A、C
Edim7・・・E、G、A#、C#
Fdim7・・・F、G#、B、D
F#dim7・・・F#、A、C、D#
Gdim7・・・G、A#、C#、E
G#dim7・・・G#、B、D、F
Adim7・・・A、C、D#、F#
A#dim7・・・A#、C#、E、G
Bdim7・・・B、D、F、G#
同じ構成音のコードが3つおきに出現しています。
ということは、お好きなdim7の形をひとつ押さえて、その形のまま3フレット上がるとまた同じdim7コードになるという仕組みです。←3フレットずつ上下しても全て同じ構成音
メジャーコードなどと比較してみると、Cメジャー(C・E・G)を純粋に3フレット上げるとD#メジャーになるわけですが、構成音はD#、G、A#となり、Cメジャーの3つの構成音とは全くことなります。
これがディミニッシュトセブンスの最も不思議な点と言えます。
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3.作り方を学ぶ
次に、実際に楽譜やコード譜にdim7が出てきた際の作り方をご説明させていただきます。ここまでに学んだように、dim7というコードはその性質上、3フレット上がっても下がっても同じ構成音が出現します。
それでは例えばEdim7を押さえたい時、どのように探せばよいでしょうか?
これも構成音一覧の中に答えがあります。
Cdim7・・・C、D#、F#、A
C#dim7・・・C#、E、G、A#
Ddim7・・・D、F、G#、B
D#dim7・・・D#、F#、A、C
Edim7・・・E、G、A#、C#
Fdim7・・・F、G#、B、D
F#dim7・・・F#、A、C、D#
Gdim7・・・G、A#、C#、E
G#dim7・・・G#、B、D、F
Adim7・・・A、C、D#、F#
A#dim7・・・A#、C#、E、G
Bdim7・・・B、D、F、G#
少し考えたい方はここで一旦読み進めるのを止めてお考え下さい。
それでは解説に移ります。
この一覧の左側と右側、つまりコードネームと構成音をよく見比べてみると、コードネームになっている音は必ず構成音に含まれていることに気付きます。
Cdim7・・・C、D#、F#、A
C#dim7・・・C#、E、G、A#
Ddim7・・・D、F、G#、B
D#dim7・・・D#、F#、A、C
Edim7・・・E、G、A#、C#
Fdim7・・・F、G#、B、D
F#dim7・・・F#、A、C、D#
Gdim7・・・G、A#、C#、E
G#dim7・・・G#、B、D、F
Adim7・・・A、C、D#、F#
A#dim7・・・A#、C#、E、G
Bdim7・・・B、D、F、G#
コードネームとはつまりルート音を示しているため当たり前のことなのですが、逆に言うとその音を含んだdim7の形にすれば希望通りのコードになるとも言えます。

このdim7の形は1~4弦の0~3フレットのみを使用しているため、画像の上に合計16カ所のフレット上に音名を記載させていただきました。
例えばEdim7を作りたい場合、

ここにEの音があるため、これを起点にdim7の形を作ると、

赤丸部分の形がEdim7となります。
次に、G#dim7を作りたい場合、まずは1~4弦の0~3フレットの範囲内でG#の音を探します。

すると3弦1フレットにG#を見つけることが出来ます。
3弦1フレットを含むdim7の形はこのようになります。

これでG#dim7の完成です。
いずれの形も3フレット上がっても同じ構成音となり、同じdim7として使用可能です。
4.使い方を学ぶ
それでは最後に、このdim7というコードをどのような場面でしようするのか例を挙げてご説明いたします。冒頭でお伝えしたように、サスペンスやホラーなど緊張や不安あるいは恐怖の感情を表現したい時に頻繁に使われるコードですが、有名なジブリ映画「となりのトトロ」の主題歌のサビ部分でもこのディミニッシュトセブンスが使用されています。

こんなに可愛らしいポップな楽曲でもディミニッシュトセブンスが使用されています。
単品で使うと不安や恐怖を表現してしまうコードでも、明るい曲のちょっとした隠し味のような使い方をすると楽曲に深みが生まれます。
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