ピアノ基礎練習教材5選(バイエル・ハノン・ツェルニーエチュード・ブルクミュラー・ソナチネ)

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日本音楽能力検定協会です。
今回はピアノ演奏における基礎練習を目的とした教則本とその特徴を一覧でお伝え致します。
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バイエル(BEYER)



日本でも多くのピアノ初学者が練習に取り入れたことがあるであろう「バイエル」は、ドイツの音楽家フェルディナンド・バイエルが1851年頃に初めてクラシックピアノを学ぶ人を対象に作ったピアノ奏法入門書です。日本で最も有名なピアノ教則本とも言われ、長年の間ピアノの入門テキストとして使われてきました。

バイエルは106の練習曲から構成されており、大きく分けて「子供用バイエル」「大人用(標準)バイエル」の2種類があり、子供用バイエルには片手で弾ける簡単な練習曲も収録されています。

曲が進むごとに少しずつ難易度が上がっていくため無理なく技術を習得でき、クラシックの基礎的な音楽間隔を養うことが出来ます。
19世紀に作られたものですので多少古く感じる場面もあるかも知れませんが、手の形や指番号を意識したり、演奏中に手が疲れない正しいフォームを身に着けたり、右手のみでの練習や両手で弾いてみる練習があったりと、とにかくピアノ初学者にとって最も入りやすい入口として現代でも親しまれています。

日本では一般的にはバイエルは最も簡単な教則本とされ、106の練習曲を約3年かけて習得することを目安とし、バイエルが終わったらソナチネやツェルニーエチュード、ブルクミュラーという風に進んでいくことが多いようですが、バイエルの中にも他の教則本よりも難易度の高い曲は存在します。
飽くまでも用途や目的によって練習曲を選ぶ必要があります。

バイエルを使用するのに適している段階としましては、
・ピアノを始めて習う方
・ピアノを独学で練習する方
などが挙げられます。

バイエルは歴史が古く、現代では欠点の多い教則本とも言われていますが、
長所を残し短所を補った「サブ・バイエル」なども出版されています。

ハノン(HANON)



19世紀にシャルル・ルイ・ハノンという作曲家が記した運指練習本です。
同じような音型を繰り返す練習で、打鍵力の向上に非常に効果的です。
運指練習の目的以外にも、コードハノン、スケールハノンなども存在し、あらゆる場面での基礎練習に役立ちます。
※その後、ギターハノン、ベースハノンなど別の楽器にも移行し、ジャズハノンなどジャンルを越えてハノンの名前が使用されています。

『5本の指(両手で10本)を平均して訓練すれば、ピアノのための曲は何でも弾くことが可能になる』これはハノン自身が教本の最初に記した言葉だそうです。

機械的で単調な練習ではあるものの、
・両手とも全く同じ動きなので均等な指の力が身に着く
・一定のテンポで常に指を動かし続けるため持久力が身に着く
・練習曲を何度も繰り返し慣れてくると脱力した上での打鍵力が身に着く
など、主に指を鍛えることを目的としているので、別のタイプの教材と併用すると飽きることなく練習を継続できます。

ページごとの冒頭に「この音型を練習する意味」が記されていることも大きな特徴で、どの指をどのように意識して練習すれば良いのかが分かります。

ハノンの欠点として、
・スケール(音階)練習以外では白鍵しか使用しない
・間違った練習方法で乱暴に指や手、手首を痛める可能性がある
といった点が挙げられます。

ハノンには曲ごとのタイトルが存在せず、ハノンの1番、ハノンの2番という風に表現されます。
上級者の演奏をお手本にしたい場合は、YouTubeなどで「ハノン1番」などと検索すると良いでしょう。

バイエル同様、様々な欠点が挙げられるハノンですが、同じ曲を何度も繰り返す、目を瞑って弾いてみる、脱力を意識するなど工夫を凝らせば非常に効果的な練習課題となります。
単調なフレーズを繰り返すため読譜力があまり必要ないというメリットもありますので、ピアノ初期段階の練習に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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ツェルニー(CZERNY)

ベートーベンの弟子であったオーストリアの作曲家兼ピアニスト、カール・ツェルニーによってまとめられた、ピアノ練習本です。
ツェルニーの特徴は何と言っても「読譜力が身に着く」という点が最初に挙げられます。
簡単な曲から徐々に難易度の高い曲へ、初見でも演奏できるよう毎日取り組むべき練習課題です。

指の運動としても非常に効果が高い上に、様々なタイプの楽曲に備えて基本的な奏法を学ぶことが出来ます。
ハノンと違い単音だけでなく和音での練習フレーズも多く収録されています。

練習曲集は100番、30番、40番、50番、60番に分けられ、100番が最も初歩的な練習で、徐々に難易度が上がっていきます。
ご自身の段階によって使い分けることをお勧めします。

ハノンとは違い曲ごとの冒頭に練習目的や指示は記されていませんが、曲中の楽譜記号や指示記号などを読み取り、作曲者の意図を理解する練習になります。

ツェルニーをしっかり練習しておくと、後になってベートーベンのあの曲はツェルニーの何番に似ている、などの発見もあるかも知れません。
そういう意味でも幅広く応用の聞く練習課題であると言えます。
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ブルクミュラー(BURGMULLER)


ドイツの作曲家フリードリヒ・ヨハン・フランツ・ブルクミュラーによるピアノ練習本です。
発表会での人気曲やコンクールでの課題曲として有名な曲が25曲収録されています。
小学校などで女子生徒が休み時間に弾いていた曲は、おそらくこのブルグミュラーに収録されているものをピアノレッスンで習っていたというケースが多いのではないでしょうか。

掲載されている曲順は決して難易度順ではなく、クラシックピアノ演奏における様々なフレーズおよび技法が詰め込まれています。
どの曲からスタートしても問題ないので、聞き覚えのある曲から練習を始めると楽しいかも知れません。

名目は「練習曲」ですがしっかりとした曲ですので、ただの指の運動や鍛錬ではなく、表現力や音楽性を身に着けたり、ペダルの操作や感覚を掴んだり、メロディーと伴奏のバランス、速度記号や強弱記号を読み取ることによる表現力アップなど、様々な上達要素を含んでいます。

メロディーと伴奏が左右の手で入れ替わる場面も多く、今までとは違ったタイプの曲の練習にも適しています。

-ブルクミュラー収録曲一覧-
1.素直な心(La cnadeur)
2.アラベスク(Arabesque)
3.牧歌(pastorale)
4.子供の集会(Petite reunion)
5.無邪気(Innocence)
6.進歩(Progres)
7.清い流れ(Courant limpide)
8.優美(La gracieuse)
9.狩猟(La chasse)
10.やさしい花(Tendre fleur)
11.せきれい(La bergeronnette)
12.さようなら(Adieu)
13.なぐさめ(Consolation)
14.スティリアの女(La Styrienne)
15.バラード(Ballade)
16.小さな嘆き(Douce plainte)
17.おしゃべり(Babillarde)
18.心配(Inquietude)
19.アベ マリア(Ave Maria)
20.タランテラ(Tarentelle)
21.天使の声(Harmonie des anges)
22.舟歌(Barcarolle)
23.帰途(Retour)
24.つばめ(L’ hirondelle)
25.貴婦人の乗馬(La chevaleresque)

ソナチネ(SONATINEN)


こちらもピアノ教室で多く取り入れられている定番教則本です。
一般的にはバイエル、ブルクミュラーの順に練習を終え、ソナチネに入るケースが多いようです。

ソナタという言葉には聞き馴染みがありますが、ソナチネという言葉は「小さなソナタ」という意味で、技術的にはソナタより易しく、曲の長さもソナタと言えば壮大な長い楽章を思い浮かべますが、ソナチネは曲の長さが短いという特徴があります。
つまりソナチネとは、「初級者向けのソナタ」と理解していただいて差し支えありません。

収録されている曲には芸術的な要素も多く含まれていると同時に、技術面と表現力を両立して学べる教育的要素があることも特徴です。
第三楽章まであるものが多く、主題の提示部・展開部・再現部について分析して演奏することを身につけていくことも目的としています。
オクターブ離れた音階の動きも多用され、指の開きや手首の柔らかさなどが求められます。
また、鍵盤を目視せずともオクターブを間違えず弾くための間隔も身に着きます。

ソナチネの曲にはタイトルがないため、楽譜上の記号や指示を読み取り表現力を養う練習にも最適です。
現代ではYouTubeなどで検索し、上級者の演奏を予め聞くことで、表現方法を学ぶことも主流となっています。

ある程度慣れて弾けるようになってきたら、メトロノームを使用しすることでリズム感覚を養うことも重要です。
ただ楽譜に記されている音符の鍵盤を押していくだけでなく、正しい音価や表現力を身に着け、壮大で長いソナタでも最後まで聴衆を飽きさせず魅了する土台を作るために適した教則本と言えます。

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最後に

いかがでしたでしょうか?
今回はバイエル、ハノン、ツェルニー、ブルクミュラー、ソナチネといったピアノ初学者のための基礎教則本の特徴をご紹介させていただきました。

音楽関係の教則本はピアノだけでなくギターやベース、ドラムやウクレレなども数多く出版されていますが、大事なのは「その1冊を深く弾き込んで極めていくこと」です。

1つの練習曲を少しだけ触ってみてすぐ次へ行くのではなく、その曲の求める表現、感情、最も合理的な指使い、弾きこめば弾きこむほどに実現されていく脱力や余裕、そういった感覚を身に着けるための練習です。

今回ご紹介させていただいた5種類の教則本はどれも世界的に有名であり、同時にピアノ初学者にとって有効です。
どれを始めても結構ですが、しっかりと深く理解し弾き込むということを念頭に練習を開始してください。
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