2025/03/14
今回は音楽初学者、または楽器初心者の方が最初に学んでおくべき音楽知識及び理論を7つご紹介すると共に、それらを学ぶことのメリット、それらを学ばなかった場合のデメリットについてお話させていただきます。
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1.楽譜の読み書き(音の高さ)
まずは楽譜の読み書き(音の高さ)です。五線譜に記された音符がどの高さの音を指すのかが分からなければ、そもそも演奏自体が始まりません。
五線譜に「と音記号」がついている場合は、一番下の線(第一線)の上にある音符はミ、一番上の線(第五線)の上にある音符はファです。
そして、第一線と第二線の間のことを第一間と呼び、第一間にある音符はファとなります。
「へ音記号」が記されている五線譜の場合は第一線がソ、第五線がラ、第一間はラとなります。
(動画解説はこちら)
https://youtu.be/bZT5TI0MR20?si=vdRuVXFEF3l1d63q
2.楽譜の読み書き(音の長さ)
次に音の長さを楽譜から読み取る重要性をお伝え致します。音楽経験のない方でもご存知の楽譜上の音符(おたまじゃくし)には、音の長さを示す役割があります。
例えば白い玉は全音符と呼び、1小節の間ずっとその音を伸ばしていられます。
その白い玉に棒が付くと2分音符と呼び、全音符の半分(2拍分)伸ばしていられます。
2分音符の玉が黒い玉になると4分音符です。2分音符のさらに半分の長さとなり1拍伸ばせます。
4分音符に旗が付くと8分音符となり、伸ばせる長さは4分音符のさらに半分となります。
これらの通常の音符の右下に点がつくと、元々の音符の1.5倍伸ばせるようになります。
例えば2分音符に点が付いた付点2分音符になると、3拍の間伸ばせるようになります。
4分音符に点が付いた付点4分音符は1.5拍の間伸ばせます。
現代ではYouTubeなどの普及により、弾きたい曲のお手本動画として多くの配信者が動画を公開しているため、楽譜を読めなくともその動画の通りに真似をして弾けばよいと考える方も多いようですが、楽譜には音の高さや長さだけでなく様々な情報が詰まっています。
動画をお手本にするだけではなく楽譜から作曲者の意図を読み取り、表現に繋げることは音楽を学ぶ上で非常に重要です。
(動画解説はこちら)
https://youtu.be/jk8DAI4wi10?si=xAUvzjf9cfWHxZRd
https://youtu.be/42tRZ1tvCok?si=WOJvUMsCILFZZUSb
3.ギターやベースの指板上の音
次はギターやベースなどに限られることですが、ドの音を出すにはどこを弾けばいいのか、どこを弾けばレなのかミなのか、音程を1オクターブ上げるにはどうすればよいのか、ということを覚える必要があります。ピアノやトランペットなど、他の楽器の経験がおありの方には信じられないかも知れませんが、ギターやベースにはTAB譜という便利なものがあり、ギターのどの弦のどのフレットを押さえれば良いかが数字で表記されているのです。
このTAB譜は直感的にどこを弾けばいいのかが分かるので、通常の音符の読み方やギター上の音を理解せずとも演奏することが可能です。
しかし最初からこれに頼ってしまう方が続出したことで、ギターやベースをやっている方は「自分が何の音を弾いているのか分からない」、もしくは「何の音を弾いているか分かっていないことにすら気付いてない」という事態が発生しています。
ピアノで言うと「どこがドなのかレなのか分からない」「でもこの鍵盤を弾けという指示に従って押さえているだけ」という状態です。
(動画解説はこちらから)
ギター
https://youtu.be/ZspjgV6-zUY?si=P5fUGKm6cuRYzIo_
ベース
https://youtu.be/_rg4YyqtGfQ?si=K6D6bYMczaJHHMGA
4.スケール(音階)
スケールとは日本語で「音階」のことで、例えばドレミファソラシドは「は長調」、またはCメジャースケールという呼び方があります。この音階や音階名を覚えることのメリットといたしましては、
・アドリブ演奏ができる
・好きな曲のフレーズの仕組みが分かる
・作曲が出来る
などが挙げられます。
ただ楽譜の音符を順に追って弾いていくだけでなく、フレーズがなぜそのような音階を辿っているのか、あるいはこの音階でメロディーを作るとどのような雰囲気になるのかを理解すると、より音楽が楽しくなります。
ドレミファソラシドの4番目と7番目のファとシを抜いた音階をヨナ抜き音階(ペンタトニックスケール)と呼び、ドレミソラとなるわけですが、この音階ですと普通の曲と比べてロックっぽくなります。
ドレミファソラシドの2番目と6番目のレとラを抜いてドミファソシドにすると、沖縄の音楽っぽくなります。
また、ドレミファソラシドの2番目と6番目のレとラを半音下げ、ドレ♭ミファソラ♭シにすると、アラビアン音楽っぽくなり、ターバンを巻いた男性が笛を吹いて蛇を操っている場面が思い浮かぶような音階となります。
マイナースケールで例を挙げると、ラシドレミファソラが最も基本となる「い短調(Aマイナースケール」と呼ぶのですが、7番目のソを半音上げてラシドレミファソ#にするとハーモニックマイナースケールと呼び、クラシカルな短調音階となり、メタルバンドなどでも頻繁に使用される音階となります。
その他にもギター検定などで出題されるチャーチモードスケール(教会旋法)をはじめ、あらゆる国で好んで使用される音階など、学び始めると楽しくなって色々と知りたくなることでしょう。
(動画解説はこちらから)
https://youtu.be/mTZ7SOLT9X4?si=tEWbPXbDbmYSjJym
5.コード構成音の仕組み
ピアノ、ギター、ウクレレを学ぶ方にとってコード構成音を学ぶことは非常に重要です。
コードダイアグラムという分かりやすい表では楽器のどこをどの指で押さえればCの形という風に記されていますが、それだけではただの丸暗記となってしまい、多くのコードを覚えることはもちろん、ご自身で様々なコードを作り出すことは不可能です。
構成音の仕組みを理解するといちいち形を覚えることなく、
・メジャーコードの3度の音を半音下げればマイナーになる
・メジャーコードの3度の音を半音上げればsus4(サスフォー)になる
・メジャーコードに7度の音を付け足すとメジャーセブンスになる
・その7度の音を半音下げるとセブンスになる
・さらに3度の音を半音下げるとマイナーセブンスになる
という風に体系的に理解することができ、複雑な形を暗記する必要がなくなります。
ギターなどではコードの形が明らかに違うため、構成音を理解せずとも多くのコードを押さえられる人も存在しますが、ピアノなどでは白鍵と黒鍵の似たような羅列になるため、構成音の仕組みを理解せず多くのコードを覚えることは不可能と言えます。
(動画解説はこちらから)
https://youtu.be/rvUKjzpgzNs?si=_KtnVK6Vbh7BxcBN
6.キーシグネチャー
キーシグネチャーとはその名の通り「キーを示すサイン」のことで、楽譜の冒頭の「と音記号」または「へ音記号」などの右側に記されています。#(シャープ)や♭(フラット)が1つもついていない場合のキーはCなので、「この曲は基本的にはドレミファソラシドの音階を使います」という意味です。
ドとファの位置に#がついている場合のキーはDなので、「この曲は基本的にはレミファ#ソラシド#の音階を使います」という意味になります。
その曲の演奏または練習を始める前に「どの音に#がつきやすいのか」を知っておくと非常に弾きやすくなりますので、キーシグネチャーを理解しておくことも非常に重要です。
(動画解説はこちらから)
https://youtu.be/rvUKjzpgzNs?si=_KtnVK6Vbh7BxcBN
7.コード機能
最後にご紹介するのは「コード機能」です。
コード機能とは、キーによって変わるコードの性質のことです。
例えばキーがCの時のCというコードはトニックと呼び、終止感を感じます。
キーがCの時のFはサブドミナント、Gはドミナントと呼び、サブドミナントはドミナントに行きたくなる、ドミナントはトニックに戻りたくなるという機能があります。
それに対してキーがFの時のCはドミナントになり、Fはトニックとなります。
このコード機能を理解するメリットは、
・曲のコード進行を覚えやすくなる
・作曲ができるようになる
などが挙げられます。
コード機能が全く分からない状態ですと、曲を演奏する際に次のコードがどこに行きやすいのか、またはこのコードに行く可能性は極めて低いということが理解できないため、何百もあるコードの中から何の根拠もなく記号を暗記しなければいけない状態となります。
コード機能が分かっていると大体の流れを言語のように把握できるため、例えば「ありがとうございま」の後に来る文字は「す」か「した」であることは日本人なら誰でも分かりますが、それと同じように「このコードの流れということは次に来るコードはこれかこれだ」というように、ある程度の予測ができるようになり、曲の演奏がとても簡単に見え始めます。
作曲をする場合も同様にコード機能は非常に役立ちます。
コード機能が全く分からない、またはそれを感覚的に感じることが出来ない人は、無理やりな順番でコードを並べてしまい曲として成立しない、もしくは非常に聞き心地の悪い曲になってしまいます。
そこでコード機能を理解していると、このコードの次にはこのコードが来ると自然な流れになるということが分かるようになり、音楽センスの高くない人でも聞きやすい曲を作ることが可能です。
最後に
今回は楽譜読み書きやコード構成音、スケールなどを挙げましたが、これらの音楽知識や理論は現代で言うと「スマートフォン」のようなものです。
かつてはスマートフォンどころか携帯電話すら存在せず、それでも人々は普通に生活をしていたわけです。
例えば恋人と待ち合わせて映画に行く場合、今ならスマートフォンで映画の情勢時間や料金を事前に調べ、待ち合わせ場所や時間はスマートフォンで連絡を取り合い、場所が分からなければグーグルマップなどで道案内をしてもらいます。
スマートフォンがなかった時代でも人々は何の苦も無く待ち合わせをし、映画を見に行っていたわけですが、今から思えば「どうやって待ち合わせをしていたんだろう」と不思議に思うことはないでしょうか?
音楽知識や理論を覚えるというのはスマートフォンに似ていて、なかった頃はそれなりに不自由もなくやっていたけど、一度持ってしまうとこんなに便利なものはなく、
・あの頃は楽譜の読み書きができなかったのに何で弾けている気でいたんだろう?
・コードの構成音が分からなかった頃はどうやってコードを覚えていたんだっけ?
・スケールが分からなかった頃は何を根拠に曲を作っていたんだっけ?
と感じるようになります。
ある程度の音楽経験を積んでしまうと「今までも理論が分からなくでも困っていなかったから」と自分に都合の良い言い訳を作り出し、理論の学習から遠ざかってしまう人も多いようですので、ぜひ音楽を始めて初期のうちに、上記の7つを学んでみてはいがかでしょうか?
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